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広島地方裁判所 平成4年(わ)426号 判決 1992年10月20日

本籍

広島市中区東白島町一二四番地

住居

同市同区千田町一丁目一〇番一-一四〇五号

無職

佐々木昭子

昭和三年一月一一日生

本籍

広島市中区東白島町一二四番地

住居

同市同区鶴見町七番一七-四〇二号 藤本温子方

無職

佐々木完司

大正一二年九月二八日生

右両名に対する各所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官見越正秋出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人佐々木昭子を罰金五〇〇万円に、同佐々木完司を懲役一〇月に処する。

被告人佐々木昭子においてその罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

被告人佐々木完司に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人佐々木昭子は、平成二年五月二三日、自己の所有する広島市中区東白島一九番四及び同一九番五の宅地並びその地上建物を東邦ビルド株式会社に売却したもの、被告人佐々木完司は、被告人佐々木昭子の夫で、同被告人から右不動産の売却及び同年分の同被告人の所得税の申告手続き等を依頼されていたものであるが、被告人佐々木完司は、右不動産を売却したことによる譲渡所得にかかる被告人佐々木昭子の所得税を免れようと企て、同会社から受領する売買代金を圧縮した内容虚偽の売買契約書を作成するなどの方法により所得を秘匿した上、被告人佐々木昭子の平成二年分の実際の総合課税の不動産所得金額が一三五万一、七九二円で、分離課税の長期譲渡所得金額が六億九、〇八五万八、七二八円であったにもかかわらず、平成三年三月一五日、同区上八丁堀所在の広島東税務署において、同税務署長を介し、所轄広島西税務署長に対し、平成二年分の総合課税の不動産所得金額が一三五万一、七九二円で、分離課税の長期譲渡所得金額が五億九、六四二万一、二〇〇円であり、これに対する所得税が一億四、七一三万五、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、平成二年分の正規の所得税額一億七、〇七四万四、四〇〇円と右申告税額との差額二、三六〇万九、三〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人両名の当公判廷における各供述

一  被告人佐々木昭子の検察官に対する供述調書二通(検18、19号)

一  被告人佐々木完司の検察官に対する供述調書二通(検15、16号)

一  中森美佐子(二通-検9、10号)中森律美(検11号)の検察官に対する各供述調書謄本

一  倉橋俊雄(検12号)、秋山堯一(検13号)の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の収入金額調査書(検2号)及び取得費調査書(検3号)

一  税理士田尻正春作成の平成二年分の所得税の確定申告書謄本(分離課税用、検7号)

一  被告人佐々木昭子作成の平成二年分の所得税の修正申告書謄本(検8号)

(法令の適用)

被告人両名の判示所為はいずれも所得税法二四四条一項、二三八条一項に該当するところ、被告人佐々木完司については所定刑中懲役刑を選択し、その刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、被告人佐々木昭子についてはその所定の金額の範囲内で罰金五〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、刑法一八条により金二万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置することとし、被告人佐々木完司に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予することとし、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文により被告人両名に平分して負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 横山武男)

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